いきなりOpenFOAM (34)

自由表面解析のTutorialケースを実行してみる

自由表面解析のTutorial

 OpenFOAMの解析では、自分の行いたい解析に類似したTutorialケースを探し出し、その一部を修正して解析を行うと、比較的スムーズに解析が行えます。今回は、気液二相解析の中でも、比較的簡単に行える自由表面解析を例題にして、解析の手順などを把握して行きます。

 始めにTutorialケースを用意します。OpenFOAMのTutorialフォルダから、multiphase→interFoam→ras内のwaterChannelフォルダを任意の箇所にコピーします。この例題を動作させると、図3に示すような水路内に流れる水の様子が得られます。

図1 TutorialケースwaterChannelのフォルダ構成
Tutorialケースの実行

 waterChannelフォルダ内で端末を起動し、図2に示すように、./Allrunと入力すると、blockMesh、setFields、interFoamの3つのコマンドが動作していることがわかります。

図2 waterChannelの解析を実行
ParaViewでの結果の可視化と動画作成

 計算が完了したら、端末にparaFoamと入力し、ParaViewを起動します。図3の赤い丸で囲まれたアイコンcontourをクリックし、等値面生成を行い、赤い楕円で囲まれた箇所で変数alphaを0.5に設定すると、図に示すように、水面の形状が表示されます。

図3 水面形状を表示

 次に、水が流れる様子を動画にしてみます。図3の水面が表示されている状態で、file→SaveAnimationとして、ファイルダイアログにファイル名を入力し、OKをクリックすると、図4に示すように、各時間の画像がフォルダ内に出力されます。

図4 出力された各時間の画像ファイル

 ParaViewを終了し、端末に、
 convert –delay 時間[10ms] –loop 繰り返し数 .png 名称.gif
と入力すると、図5に示す各時間の画像をまとめた動画GIFファイルがフォルダ内に出力されます。-delayは10ms単位での画像切り替わりの時間間隔を設定します。例えば、-delay 10とすると、100msすなわち0.1秒ごとに画像を切り替えます。-loopは繰り返し数で、0に設定すると、無限に繰り返し再生します。-delayも-loopも省略できますが、省略すると、10ms刻みで無限に繰り返します。ブラウザによっては高速で再生されてしまうため、-delayは設定しておくことをおすすめします。 記号*を使ったファイル名はワイルドカード検索と呼ばれ、「*」以外の文字列を含むファイルを探し出します。この際、拡張子がpngのファイルはすべて対象となるので、動画用以外で画像を保存している場合は、あらかじめ避難しておく必要があります。あるいは、今回の例では、waterLevel番号.pngで画像が出力されているので、.pngではなく、waterLevel*.pngとすれば、waterLevel以外の名称のpngファイルは動画作成に使われません。
 なお、今回は1つの方法としてコマンドによる動画作成方法を紹介しましたが、複数画像をまとめて動画ファイルに出力するアプリケーションでも同様の作業が可能です。

図5 水面の変化(動画)

 今回は、自由表面計算の第一歩として、Tutorialケースを実行し結果を動画で表示しました。今後、Tutorialケースを応用する場合、できるだけ簡単な方が失敗も少なくなります。そこで、次回は、今回のTutorialケースから不要な部分を削除しシンプルな計算にしてみます。

 このページでは、各アプリケーションの操作説明は省略しています。FreeCADの具体的な操作については、いきなりOpenFOAM第5回および第7回、OpenFOAMでの計算実行は第8回、ParaViewの操作については第3回第4回および第8回を参考にしてみてください。

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