いきなりOpenFOAM (45)
setFieldsDictの設定
はじめに
前回のdamBreakチュートリアルで、setFieldsDictファイルの設定により任意の形状、位置に液体部分を生成できることがわかりました。今回は、setFieldsDictファイルの内容を説明し、いくつかの例を紹介します。
解析空間の作成
はじめに、練習用の解析領域を用意します。XSimで図1に示すように、原点が中心となるように縦横高さ10mの立方体を作成し、解析ファイルをエクスポートします。メッシュ生成などもデフォルトでかまいません。解析ファイルを展開し、./Allrun –mと入力し、メッシュを生成します。constantフォルダ内のpolyMeshフォルダをdamBreakチュートリアルのconstantフォルダ内に移動します。また、0フォルダ内にalpha.waterファイルがあれば、削除しておきます。
以上のファイルのセットを異なる液体領域設定ごとに複数コピーします。systemフォルダ内のsetFieldsDictファイルを修正し、端末からsetFields、paraFoamと入力し、ParaViewを起動して、液体表面を表示させると、setFieldsDictファイルで設定した液体部分を確認できます。
setFieldsDictの説明
setFieldsDictファイルは図2に示すように、defaultFieldValuesとregionsの2つからなります。defaultFieldValuesは解析空間全体の値を設定します。図2では液相率が0です。一方、regionsは解析空間内に設定したい形状と値を設定します。regionsは形状と値とからなり、図2では液相率が1の直方体を設定しています。
形状の設定は3種類あり、boxToCellで直方体、sphereToCellで球体、cylinderToCellで円柱を設定できます。
次にboxToCellについて説明します。boxToCellはbox(最小x 最小y 最小z)(最大x 最大y 最大z)で、直方体の位置と寸法を設定します。上記の図2では、原点を中心に縦横高さ2mの立方体の液体部分を生成します。端末からsetFields、paraFoamと入力し、液面を表示させた結果が図3です。
sphereToCellは、球体を生成します。「centre(球の中心座標)」と「radius 球の半径」で、位置と寸法を設定します。図4では、原点を中心に半径4mの球体を生成します。同様にして可視化した結果が図5です。
cylinderToCellは、円柱を生成します。「p1(円柱底面の中心座標)」と「p2(円柱上面の中心座標)」と「radius 円柱の半径」で、位置と寸法を設定します。図6では、原点を中心に半径4m、高さ2mの円柱を生成します。同様にして可視化した結果が図7です。
regions内に形状、値の組み合わせを続けて記載すると、領域を複数設定できます。図8は球体と直方体を生成させる設定で、可視化した結果は図9に示すように、解析領域の底に高さ1mの液体と底面から高さ8mの位置に半径1mの球状の液体が生成されます。
なお、~ToCellとあるように、設定はメッシュに対して行われるため、メッシュの範囲を超えた部分は生成されません。例えば、メッシュの底面を原点に球体を生成させると、上半分だけの半球が生成されます。
今回はsetFieldsDictの設定項目について説明しました。次回はこれらの設定を使ってダムブレイクの計算を行ってみます。
このページでは、各アプリケーションの操作説明は省略しています。FreeCADの具体的な操作については、いきなりOpenFOAM第5回および第7回、OpenFOAMでの計算実行は第8回、ParaViewの操作については第3回、第4回および第8回を参考にしてみてください。
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