いきなりOpenFOAM (46)
任意の形状・条件でのダムブレイク解析
解析モデルとメッシュ作成
前回までの説明で、damBreakチュートリアルケースを基にXSimによるメッシュ設定とファイルの修正を行うことで、任意形状・任意条件でのダムブレイク解析ができるようになりました。今回は、その手順を説明します。
始めに、3次元CADでモデルを作成します。図1に示すような解析空間を作成します。初期の液体部分はsetFieldsDictファイルで、解析空間の左隅に長さ１ｍ、高さ0.9mで設定します。
次に、領域ごとに面に分割し、stlファイルを出力します。図2の黄色の領域はatmosphere、青色の領域はwalls、赤色の領域はoutlet、灰色の領域はsideとします。
XSimを起動し、図3に示すように、stlファイルのインポートとスケール変更を行います。次に、メッシュ設定では、図4に示すようにベースメッシュ数を2桁ほど多く設定します。また、wallsにはデフォルト設定で境界層を設定します。エクスポートで解析ファイルの出力と展開した後、端末を起動し、./Allrun –mでメッシュを生成します。
ファイルの修正
メッシュ作成後、constantフォルダ内のpolyMeshフォルダをdamBreakチュートリアルケースのconstantフォルダ内に移動します。メッシュが用意できたので、systemフォルダ内のblockMeshファイルは無くても構いません。
次に、damBreakチュートリアルケースのファイルを修正します。修正が必要なファイルは、0フォルダ内のUファイル、alpha.water.origファイルと、systemフォルダ内のsetFieldsDictファイルとcontrolDictファイルです。なお、０フォルダ内にalpha.waterファイルが残っている場合は削除してください。
Uファイルは、boundaryField内を図5に示すように書き換えてください。
同様に、alpha.water.origファイルのboundaryField内を図6に示すように書き換えてください。
また、領域を追加・修正した場合は、メッシュ生成用に出力したstlファイル名と対応するようにboundaryField内のwallsなどの名称を追加・修正してください。
次に、systemフォルダ内のsetFieldsDictファイルを修正します。図7に示すように、領域をboxToCellとして、図1に示すモデルの左下隅に長さ１ｍ、奥行き0.1m、高さ0.9mとなるように設定します。詳細は、いきなりOpenFOAM第45回を参照してください。なお、座標値での指示となるので、モデル作成時には、原点の位置にも留意してください。
同じくsystemフォルダ内のcontrolDictファイルを図8に示すように修正します。endTimeで解析終了時間、writeIntervalで出力間隔を設定します。interFoamは時間刻みを自動調整してくれますが、初期でクーラン条件を大幅に逸脱すると安定して解析できないため、時間刻みdeltaTも適当な値となるように設定します。詳細は、いきなりOpenFOAM第36回を参照してください。
ファイルを修正・上書き保存したら、端末で、setFields、interFoamの順にコマンドを入力すると、計算が始まります。計算中は、端末に表示されるメッセージから最大クーラン数や時間刻みなどを確認することができます。
結果の可視化
計算が終了したら、paraFoamと入力しParaViewを起動し、結果を可視化します。ParaViewの使い方や液面の表示については、いきなりOpenFOAM第34回を参照してください。
図9から図11に、それぞれ初期状態、1秒後、2秒後の液面形状を示します。また、図12の動画を再生させると、下流の堰を越える流れと堰からの反射波が見られます。
今回は任意の形状と条件でダムブレイク解析を行いました。次回は液滴の落下により液面に生じる波紋を解析してみます。
このページでは、各アプリケーションの操作説明は省略しています。FreeCADの具体的な操作については、いきなりOpenFOAM第5回および第7回、OpenFOAMでの計算実行は第8回、ParaViewの操作については第3回、第4回および第8回を参考にしてみてください。
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