いきなりOpenFOAM (82)

竹とんぼの飛行解析(その1)

解析の方法

 今回から4回に分けて、竹とんぼの飛行をOpenFOAMで解析し、竹とんぼが、どの程度の高さまで上昇するのかを求めてみます。
 計算の方法として、飛行中の竹とんぼに加わる力を逐次計算し、竹とんぼの上昇・下降速度と回転速度を逐一計算することで、竹とんぼの飛行そのものを再現することが可能です。この方法は、OpenFOAMにおいても可能ですが、オーバーセットメッシュを用いた非定常計算を行うため、長い計算時間が必要であるのと同時に、ハードウェアに要求されるレベルもかなり高くなります。
 そこで、今回は、いきなりOpenFOAM第77回ドローンのプロペラ周りの流れの解析と同様に、MRF機能を用いた数値風洞実験を行い、その結果を用いて、竹とんぼの運動方程式を解くことで、高度の時間変化を求めてみます。

竹とんぼに加わる力

 図1に、竹とんぼに加わる力を示します。図に示すように、上から見て時計回りに角速度ω[rad/s]で竹とんぼを回転させると、上向きに角速度の二乗に比例した上昇力が発生します。一方、回転方向とは逆向きに角速度の二乗に比例したトルクが加わります。また、竹とんぼの自重と、上昇している場合は上昇速度の二乗に比例した力が下向きに加わります。

図1 竹とんぼに加わる力

 以上を運動方程式に表すと、下記の(1)式と(2)式となります。ここで、mは竹とんぼの質量[kg]、Izは回転軸周りの慣性モーメント[kgm2]、ωは角速度[rad/s]、gは重力加速度9.8m/s2です。(1)式の第3項は竹とんぼの上昇・下降に伴う流体抵抗を示し、上昇時には下向き、下降時には上向きの力となるため、絶対値との積としています。質量と慣性モーメントは、最近のCADでは部品を選択するとプロパティとして表示できます。また、式中のAは図1の上昇力の比例係数で、Bは同じく、トルクの比例係数、Cは流体抵抗力の比例係数です。いずれも風洞実験結果から求められます。今回はOpenFOAMで数値風洞実験を行い、その結果から係数A、B、Cを求めます。

 今回は竹とんぼの飛行解析の方針と必要な力を整理しました。
 次回は、竹とんぼのモデルを作成し、数値風洞の結果から上記の係数A, B, Cを求めてみます。

 このページでは、各アプリケーションの操作説明は省略しています。FreeCADの具体的な操作については、いきなりOpenFOAM第5回および第7回、OpenFOAMでの計算実行は第8回、ParaViewの操作については第3回第4回および第8回を参考にしてみてください。

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