いきなりOpenFOAM (88)
プロペラ風車の流れ解析(その2)
トルクの算出
前回のいきなりOpenFOAM第87回で計算した平板の風車特性を求めてみます。
風車特性は横軸に周速比λ、縦軸を出力比Cpとしたグラフで示されます。周速比および出力比はそれぞれ、(1)式と(2)式で算出します。

ここで、Tは風車に作用するトルク[Nm]、ωは角速度[rad/s]、uは風速[m/s]、Rは風車半径[m]、Aは風車の受風面積[m2]、ρは空気密度[kg/m3]です。
トルクTは、いきなりOpenFOAM第78回ドローンのプロペラ周りの流れ(その3)で説明した方法で求められます。詳細はそちらを参照してください。風車半径や受風面積はモデル形状から、角速度や風速は解析時に設定した値です。
風車特性を求めるには、妥当な角速度範囲を求めておく必要がありますが、今回は、適当な角速度で数値風洞実験を行い、試行錯誤をしながら角速度の範囲を決めることにし、1,5,10,15,20,25,30 rad/sの7回の計算を行います。
トルクTは、解析ファイルのsystemフォルダ内のforcesファイルを利用します。もし、プロペラ表面の領域をblade以外とした場合は、forcesファイルのpatchesで指定する領域名をモデルでの領域名と一致させてください。次に、controlDictファイルのfunctionsに、#include “forces”;を追加します。
計算を行うと、postProcessingフォルダ内のforces.dat内にトルク値が出力されます。forces.datは圧力によるモーメント、粘性によるモーメントなどがベクトル形式で表示されています。今回は、Z軸を中心とした回転であるため、圧力によるモーメントの3番目の値が求めたいトルクとなります。詳細は、いきなりOpenFOAM第78回を参照してください。
風車特性
計算されたトルクから、(1)式と(2)式を用いて、周速比と出力比を求めると、図1に示す風車特性が得られます。
図から、周速比が2.5付近で風車は最大効率となることがわかります。また、計算の前提とした周速比6では、負のトルクすなわち回転を維持するには補助的なトルクが必要な状態となることがわかります。

今回は平板翼の解析で、周速比が2.5あたりで、最大効率が13%程度となりました。次回は円弧翼の計算と風車特性を算出してみます。
このページでは、各アプリケーションの操作説明は省略しています。FreeCADの具体的な操作については、いきなりOpenFOAM第5回および第7回、OpenFOAMでの計算実行は第8回、ParaViewの操作については第3回、第4回および第8回を参考にしてみてください。
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